自社の経営分析をしょうましょう④~さぁ分析しましょう~

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「経営指標を読みとき分析する」と言っても、何も難しいことを覚える必要はありません。手元に決算書を用意していただければいいのです。公共の機関でとても便利なツールを提供しているのですから。

 

決算書の財務データを入力いただくと、貴社の財務指標の推移の確認や、業界平均値(小企業の経営指標データ)との比較ができます。

 

決算書の財務データを入力すると「総合診断」「資金繰診断」「個別指標診断」など様々な視点からの診断を行うことができます。


これに入力すれば、現在の経営指標が把握できます。簡単です。

経営指標①:収益性分析の指標一覧

収益性分析とは、「小さな元手で大きな収益や利益をあげる力があるか」「資本を有効活用しているか」「小さな資本で大きな利益をあげているか」といった収益力を見るための指標です。

売上高営業利益率
効率よく稼げているかを見るための指標です。
売上高営業利益率が高いほど、販売している商品の収益力が高く、さらに販売活動も管理活動も効率よく稼いでいるということになります。

 

売上高営業利益率 = 営業利益 / 売上高 × 100

売上高や売上総利益が伸びているにもかかわらわず、売上高営業利益率が低下している場合には、販売費及び一般管理費が増加している可能性があります。「営業利益」は、売上総利益から販売費及び一般管理費を引いて計算されるからです。
売上高営業利益率は、業種によってかなり差があります。一般的にサービス業や医薬品メーカーなどでは高く、小売業や商社では低い傾向にあります。

業種 売上高営業利益率
建設業 3.82%
製造業 4.02%
情報通信業 5.08%
運輸業、郵便業 2.42%
卸売業 1.77%
小売業 1.44%
不動産業・物品賃貸業 8.22%
学術研究、専門・技術サービス業 6.69%
宿泊業・飲食サービス業 2.11%
生活関連サービス業、娯楽業 1.82%
サービス業(他に分類されないもの) 3.80%

売上高経常利益率
売上高経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合です。
売上高経常利益率が高いほど、本業だけでなく、本業以外の財務活動(資金運用や資金調達など)といった資本管理の面から見ても、会社がうまくいっていると判断することができます。

 

たとえば、有利子負債に頼った経営をしていると、支払利息(営業外費用)が多くなって、経常利益率は低くなります。逆に手持ち資金に余裕のある会社は、その運用益である受取利息、受取配当金(営業外収益)をもたらすので売上高経常利益率は高くなります。

売上高経常利益率 = 経常利益 / 売上高 × 100
業種 売上高経常利益率
建設業 4.31%
製造業 4.74%
情報通信業 5.81%
運輸業、郵便業 3.13%
卸売業 2.16%
小売業 2.30%
不動産業・物品賃貸業 8.52%
学術研究、専門・技術サービス業 7.84%
宿泊業・飲食サービス業 2.63%
生活関連サービス業、娯楽業 2.71%
サービス業(他に分類されないもの) 4.38%

総資本回転率
総資本回転率は、会社の資源を有効活用できているかを見る指標です。
総資本回転率の単位は、%ではなく「回転」です。1回転とは、資本が会社の経営に使われ再び元のお金に戻るまでをいい、資本が何回転したかによって、会社の効率性を判断することができます。
総資本回転率が高い会社は、資源を有効に利用して多くの売上高をあげることができたことを意味しています。

 

総資本回転率 = 売上高 / 総資本
業種 総資本回転率
建設業 1.32回転
製造業 1.03回転
情報通信業 1.00回転
運輸業、郵便業 1.18回転
卸売業 1.70回転
小売業 1.71回転
不動産業・物品賃貸業 0.31回転
学術研究、専門・技術サービス業 0.58回転
宿泊業・飲食サービス業 1.03回転
生活関連サービス業、娯楽業 1.18回転
サービス業(他に分類されないもの) 1.23回転

自己資本利益率(ROE)
自己資本利益率(ROE)は、自己資本に対する当期純利益の比率を見る指標です。
株主の立場から見た投資に対する収益性を知るための指標です。
したがって、分母は株主の投資額や株主に帰属する利益の累積である自己資本、分子は株主への配当の原資である当期純利益を用いて計算します。

 

自己資本利益率は高いほど、自己資本を有効に活用して利益を得たことを示していて、株主利益の増大に貢献しているといえます。
このため、ROEは投資家の判断基準としてもよく用いられる指標です。
ROEが高いほど、投資家からすれば「投資する価値は高い」ということになります。

自己資本利益率 = 当期純利益 / 自己資本 × 100
業種 自己資本利益率(ROE)
建設業 13.37%
製造業 10.22%
情報通信業 10.27%
運輸業、郵便業 11.47%
卸売業 8.77%
小売業 14.86%
不動産業・物品賃貸業 6.47%
学術研究、専門・技術サービス業 7.28td>
宿泊業・飲食サービス業 13.65%
生活関連サービス業、娯楽業 6.99%
サービス業(他に分類されないもの) 11.76%

総資本経常利益率(ROA)
総資本経常利益率(ROA)は総資本に対する経常利益の比率であり、会社に投下された総資本からどれだけの利益を稼ぎ出しているかを見る指標です。
ROAが高いほど、会社全体として総合的に多くの利益を上げていると判断することができます。
ROAも、ROEとともに投資家の判断基準としてもよく用いられる指標です。

 

総資本経常利益率(ROA) = 経常利益 / 総資本 × 100
業種 総資本経常利益率(ROA)
建設業 5.69%
製造業 4.86%
情報通信業 5.83%
運輸業、郵便業 3.70%
卸売業 3.68%
小売業 3.93%
不動産業・物品賃貸業 2.61%
学術研究、専門・技術サービス業 4.52%
宿泊業・飲食サービス業 2.70%
生活関連サービス業、娯楽業 3.18%
サービス業(他に分類されないもの) 5.40%

経営指標②:安全性分析の指標一覧

安全性分析とは、会社の短期的、長期的な安全性を見る指標です。
短期の支払い能力、長期的な支払い能力を判断するために用います。また、「借入金が多すぎるか(依存し過ぎていないか)」「十分な自己資本を持っているか」などの、財務体質を判断し改善するためにも用いられます。
短期の支払い能力を見る指標として、流動比率・当座比率などがあります。
また、長期的な支払い能力を見る指標として固定比率、固定長期適合率などがあります。そして、財務体質の健全性を見る指標としては自己資本比率などがあります。

流動比率
流動比率は、短期的な支払い能力を見る指標です。
流動比率が高ければ短期的な支払い能力があると判断することができます。

流動比率は、貸借対照表の流動資産と流動負債を用いて計算します。この2つの金額を見る時には、まず流動資産と流動負債のどちらが多いかに注目します。

 

仮に流動資産より流動負債の方が多ければ支払い能力が低いため、よい財務状況ではありません。一方、流動負債よりも流動資産の方が多ければ、短期的な支払い能力はあると判断できます。

流動比率は、流動資産を流動負債で割ることで、短期的な支払い能力を具体的な数値として示すことができます。たとえば、流動資産が流動負債の2倍であれば、200%、3倍であれば300%となります。一方、流動資産より流動負債の方が多ければ、100%を切ることになります。業種により異なりますが、一般的に、流動比率は150%~200%を超えているとよいとされています。

流動比率 = 流動資産 / 流動負債 × 100
業種 流動比率
建設業 173.55%
製造業 194.55%
情報通信業 254.35%
運輸業、郵便業 155.04%
卸売業 156.57%
小売業 158.32%
不動産業・物品賃貸業 169.16%
学術研究、専門・技術サービス業 193.00%
宿泊業・飲食サービス業 104.51%
生活関連サービス業、娯楽業 142.80%
サービス業(他に分類されないもの) 215.56%

固定比率
固定比率は、固定資産を過剰な借入金で購入していないかを見る指標です。
固定比率は、固定資産を自己資本で割って求めます。つまり、固定資産に投資された資金のうち、どれだけが返済義務のない自己資本でまかなわれているのかを示す指標です。
固定比率が高ければ安全性が低く、固定比率が低ければ安全性が高いと判断することができますが、目安としては100%以内を達成すべきと言われています。

 

固定比率 = 固定資産 / 自己資本 × 100
業種 固定比率
建設業 76.72%
製造業 97.48%
情報通信業 63.80%
運輸業、郵便業 156.15%
卸売業 87.24%
小売業 118.09%
不動産業・物品賃貸業 184.49%
学術研究、専門・技術サービス業 92.42%
宿泊業・飲食サービス業 346.59%
生活関連サービス業、娯楽業 187.43%
サービス業(他に分類されないもの) 87.91%

自己資本比率
自己資本比率は、会社として借金が多すぎないかを見る指標です。
自己資本比率は、自己資本を総資本で割って求めます。
自己資本は第三者に返済する必要のない資本ですから、自己資本比率が高いほど長期の安全性は高いと判断することができます。

 

自己資本比率 = 自己資本 / 総資本(他人資本+自己資本) × 100
業種 自己資本比率
建設業 40.84%
製造業 45.60%
情報通信業 55.22%
運輸業、郵便業 35.32%
卸売業 38.01%
小売業 36.15%
不動産業・物品賃貸業 36.58%
学術研究、専門・技術サービス業 59.92%
宿泊業・飲食サービス業 20.83%
生活関連サービス業、娯楽業 36.14%
サービス業(他に分類されないもの) 42.23%

経営指標③:成長性分析の指標一覧

成長性分析とは、会社の売上高、利益が順調に伸びているのかを見るための指標です。売上が伸びているということは、会社の規模が大きくなっている、つまり成長しているということだからです。
ただし、会社の成長性を分析する際には売上だけではなく利益もあわせてチェックすることが大切です。つまり「増収増益」の状況であるのかを見る必要があります。

売上高伸び率
売上高伸び率は、当期の売上高と前期の売上高から、伸び率を計算する指標です。
ただし、売上高が伸びていても利益が伸びていない状態(増収減益)であれば、正常な成長とはいえないので注意が必要です。
たとえば、売上高が伸びていても営業利益伸び率が伸びていないのであれば、売上高の伸び以上に販売費及び一般管理費が伸びている可能性があります。

 

売上高伸び率 = 売上高(当期) / 売上高(前期) × 100

経営指標④:生産性分析の指標一覧

生産性分析とは、投入する経営資源(インプット)に対するアウトプットの割合であり、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源が効率よく働いているのかを見る指標です。
生産性分析は、インプットを何にするかによって以下の通り区分されます。
インプットをヒトとした場合が「労働生産性」、インプットをモノ(設備)とした場合が「設備生産性」、インプットをカネ(資本)とした場合が「資本生産性」です。

労働生産性
労働生産性とは、従業員一人あたりの付加価値を見る指標です。
労働生産性は、高ければ高いほど、従業員1人あたりの生産性が高いと判断することができます。
付加価値とは、外部から購入したモノやサービスに会社が事業活動によって付け加えた価値のことです。

 

労働生産性 = 付加価値 / 従業員数

付加価値の平均値は、大企業か中小企業かによって大きく異なります。。

  建設業 製造業 情報通信業 運輸業,郵便業 卸売業 小売業 宿泊業,飲食サービス業 生活関連サービス業,娯楽業
中小
企業
698 560 613 550 650 506 256 420
中堅
企業
957 757 863 793 938 657 395 496
大企業 1,406 1,009 1,209 1,145 1,215 715 542 683

労働分配率
労働分配率とは、付加価値が労働者にどの程度配分されているのかを見る指標です。
人件費(給与、賞与、退職金、福利厚生費など)が高ければ、労働分配率は高くなります。

労働分配率は、飲食業やサービス業など、機械や設備が少なく、労働集約型の業種で高くなる傾向があります。また、創業から間もない会社は利益があまりあがらないことが多く、その場合にも労働分配率が高くなります。

 

労働分配率 = 人件費 / 付加価値 × 100
業種 労働分配率
建設業 69.25%
製造業 69.82%
情報通信業 74.62%
運輸業、郵便業 76.99%
卸売業 63.74%
小売業 67.05%
不動産業・物品賃貸業 37.91%
学術研究、専門・技術サービス業 71.70%
宿泊業・飲食サービス業 71.26%
生活関連サービス業、娯楽業 57.94%
サービス業(他に分類されないもの) 82.47%

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